La Seine Musicaleと街頭アート

パリ郊外のブローニュにあるシアター・ホール「La Seine Musicale」はルノーの工場跡地にあって，屋上庭園は無料で誰もがアクセスできる。セーヌ川の中洲にあって，ブローニュ地区からパリにかけての眺望が素晴らしい。

　卵形の外装。外枠は太陽光パネルになっていて，レールを使って太陽の方向に移動する。内装は木がふんだんに使われていて，組み木細工のような天井は音響効果を最大化させる工夫らしい。よく知らないけど座席の材質も音を吸収する素材で，とにかく音にこだわって建設されたらしい。

　ルーフトップガーデンでは10月まで環境芸術展示がされている。点数は多くないけど，面白い。韓国の芸術家がデザインした「ハスの花」は，シアターのダクトの排気を使ってゆらゆらと揺れる。人工的な自然と人工的なランドスケープを背景に，奇抜に人工的なハスの花がどこかシュール。タイトルは「Breathing Flower」息ぶく花…かな。そして対岸にはセーヌ川が作り出した河岸段丘に戸建て住宅が並ぶ。河岸段丘だから，頂上の向こう側にはムドンの森からベルサイユ方面に平らな土地がつづく。

　このシアター・ホールのブローニュ側の岸辺は再開発地域で，いわゆるプロジェクト（公的住宅）が多い。公的投資がされている地域らしくパリ近郊にしては広々とした緑豊かな歩道が多い。橋を渡ったところに1年以上変化がないままの工事現場を囲う壁には，ルノーの工場があったブローニュのこの地域をテーマにしたアート作品がペイントされている。

　住んでいなければ足を向けない地域。パリ中心部からメトロ9番線で20分。都市にある村のような地域で地元に根差した商店やレストランが多くて，ミシュランなどでの格付けされたレストランも数があって市内より安い。いい街に住んでるなと思う。