ボルドーからの復路:サン=テミリオン,モンテーニュ城,ラスコーの洞窟壁画
- 百合田真樹人
- 2020年7月2日
- 読了時間: 2分
復路はボルドーで車を借りて,何箇所か立ち寄ってパリに戻る。走行距離は2日間で880キロになった。東京ー大阪の往復に相当する。フランスの高速道路の制限時速はほとんどの区間で130キロなので,距離のわりにはストレスは少ない。そして移動中の景色からもストレスを軽減させられる。
最初に立ち寄ったのはボルドーから車で45分程度のSaint-Emilion(サン=テミリオン)。ワイン園に囲まれた修道院の街。普段は観光客であふれるらしいけど,COVID-19の影響で観光客をほとんど見かけなかった。農作業の音と子どもの声が聞こえる。遠くまで整然と広がる葡萄畑をながめた。
サン=テミリオンの後に,16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者のミシェル・ド・モンテーニュの暮らしたモンテーニュ城へ。モンテーニュは懐疑論に基づいて寛容を唱えた人文主義の哲学者。「私は何を知るのか(Que Sais Je)」というモンテーニュの問いは,自らが知り得ることの限界を認め,知り得ないものの世界を認知するという寛容のあり方を示している。まさかモンテーニュの城を訪問することができる日があるとは夢にも思わなかった。
モンテーニュ城を後にしてネアンデルタール人の洞窟壁画で有名なラスコーへ。ここも中学校の教科書で見た時には,まさか訪問する機会があるとは想像もしなかった場所。燭台の火で見る壁画は,ありきたりな表現だけど生き生きしていた。なによりも洞窟の凸凹した壁面を巧みに利用して描かれている技巧に驚きを禁じ得なかった。
ボルドーのアクイタニ博物館にもネアンデルタールからクロマニョンにまたがった旧石器時代と新石器時代の遺物がたくさん展示してある。この辺りを舞台に人類が進化と交流の過程を経たことが丁寧に展示されていて,それぞれの特徴がうまく紹介されている。まさに一見の価値があると言うのはこう言う時に使うのだろうなというのが素直な感想。
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